専従者控除を活用しよう!

従者控除とは、簡単に言うと個人事業主だけに認められた、家族に給料を支払える制度のこと。一定の手続きと条件を満たした青色申告の個人事業主なら、年間数百万円単位で給与を経費として計上できるなど、節税効果も絶大です。今回は、どうすれば専従者控除が受けられるか、最も節税となる給与額はいくらかなどについて紹介します。

 

「生計を一にする親族」「15歳以上」「6ヶ月以上従事」が専従者の条件

通常、従業員に支払う給与は経費として扱えますが、家族に支払う給与は原則、経費として認められていません。しかし、商店などでは家族が仕事を手伝いすることが多いことから、一定の手続きと条件を満たすことで支払った給与を経費として認められるようにしたのが専従者控除制度です。専従者として認められるには、以下の3つの条件があります。

1.個人事業主と生計を一つにして暮らしている配偶者や親、祖父母、子ども
2.その年の12月31日現在で、年齢が15歳以上(学生は原則不可)
3.年間のうち6ヶ月以上はその事業に従事すること

専従とは、その言葉の通り、専属で仕事に従事することで、原則としてアルバイトや、パートは認められませんが、本業に支障のない範囲ならば許容されています。ただし、専従者としての給与とパート収入を合わせて103万円を超えると確定申告が必要となり、所得税や住民税(住民税は100万円超が課税対象)が課税されますのでご注意ください。

また、専従者控除を受けるための手続きは、以下のように申告方法によって異なります。

◎白色申告:手続きは不要
◎青色申告:青色事業専従者給与に関する届出書を税務署に提出
この届出書の提出期限は3月15日です。そのため、平成27年分から制度を利用したいと思っている場合は、平成27年3月15日までに届出書を提出する必要があります。

即戦力となる専従者のお仕事

専業主婦として家事や子育てをしている配偶者や両親に専従者になってもらう場合でも、支払う給与に見合う仕事をしてもらわなければなりません。一般的には、以下のような仕事を行っていれば、専従者として認められます。

・経理業務(帳簿記帳、領収書の整理、請求書発行、支払い・集金 など)
・総務業務(メール管理、在庫管理、備品管理、書類整理、片付け など)
・アシスタント業務(個人事業主のスケジュール管理、調査、配達 など)
税務署の税務調査対策を考えれば、何らかの勤務実態の記録(出勤簿、日報、週報など)があれば、なおさら良いでしょう。

青色と白色では給与支払額はどう変わる?

専従者給与の上限額は以下のように白色、青色と申告方法で異なります。 青色申告の場合、上限額は設けられていませんが、一般的には個人事業主よりも専従者の給与を高く設定するのは問題だとされています。求人情報誌を参考にしながら、市場の相場に合った給与額に設定することをおすすめします。

◎白色申告
給与には上限額が設けられています。その理由は、給与という考え方はなく、あくまで所得控除の一種だと見なされているからです。ちなみに限度額は、以下のA.Bのうち少ない金額となります。

A.配偶者:86万円・配偶者以外:50万円
B.事業所得を専従者の数に1を加えた数で割った額〔一例:事業所得150万円で、妻が専従員の場合/150万円÷(1+1=2)=75万円〕
この場合、Bの金額の方が少ないので、給与支払限度額は年間75万円となります。

◎青色申告
届出書に給与額を記載して提出すれば、いくらでも支払うことができます。ただし、届出書に記載する金額が上限額なのでそれ以下でもかまいません。また給与支払日の変更や届け出の記載額以上の給与を支払う時は、変更届出書を税務署に提出する必要があります。

青色申告専従者の場合、給与額をいくらにすると、もっとも節税効果が高くなるか気になる方は、以下を参考にしてください。

配偶者を専従者にした時のデメリットとして、38万円の配偶者控除が受けられないことが指摘されています。しかし、事業所得が少ない事業者は、専従者給与額を所得税・住民税が非課税となる年間100万円以内にしたり、事業所得が多い事業者は給与額を多めにしたりすれば、トータルで節税が可能です!法改正の準備が進められているため、この制度は来年以降変わる可能性がありますが、現在、配偶者や両親と一緒に暮らしている方は、一度検討してみてはいかがでしょうか。

このエントリーをはてなブックマークに追加